エネルギー問題について

 私が判る範囲で、エネルギー問題について書いてみたい。
 ただ断って置くけれど、私は自分のことを無知蒙昧の徒だと思っているので、この稿も、皆様に教えを請う為のものである側面がほとんど。ですので、認識の至らない記述に関しては、どうかご教示を。

 さて、まずは今朝の朝刊記事から。

米シェールガス、対ロシアの武器として急浮上

 で、併せ読んで欲しいのがこちら。

ソチ五輪の何がヤバいか(中編)―世界からの抗議と取り残される日本―

 このふたつから私が思うことをまずは書いて行きたい。
 日本政府が、ロシアの人権問題について認識がない、というのもあるだろうが、それだけ各国が開会式ボイコットをしていれば、それが何故か調べて、それなりのバランスは取るだろう。
 例えばこの私もレイシストは大嫌いなんだが、別に安倍総理だってレイシストじゃなかろう。少なくとも、レイシストだと思われたら損をする、ということくらい判るだろう。仮にも日本の総理だ、日刊ゲンダイに書いてあるような「人間のクズ」ではなかろう。
 という前提は、そんなにおかしくない前提だと思うので、それを前提に考えると。
 それでもソチ開幕式に出たのは、やはりエネルギー問題ではないか。
 ロシアと仲良くするとシェールガスが得やすくなる。原発をなかなか動かせない状況で、しかしエネルギーは何か確保しなくては、となった時、やはりシェールガスは魅力的だろう。
 ということで国際的非難も承知でロシアと仲良くしようとする日本政府。ツライとこだね。
 
 エネルギーは、とにかく確保しなくてはいけない。そして、エネルギー供給国は、他のことでぶつかる場面がなるべく少ない国で。という考え方は、ごくまっとうではないか。となると、ロシアならまだ「いいじゃんいいじゃん」となるだろう(※)。
 人権問題が日本国内で本格的に取り沙汰されていないのなら、ガスのためなら開会式だって出るだろう。

(※)第一期安倍政権の頃、安倍さんの口癖は「いいじゃんいいじゃん」だと週刊誌に書いてあって、ずいぶん軽い総理だな、と思ったものだが、今でもいいじゃんとか言ってるのかな(笑)。

 このように、エネルギー問題を考えると、他の政策と矛盾が出やすい(政策って大概そうだけど、特にエネルギー問題、その傾向が強いように思われる)。
 原発に反対する人々の多くはレイシズムにも反対だろうけど、ではエネルギーはどこから得たらいいの? 自然エネルギーってのはまだまだちゃんとは使い物ににならないっていうよ、この本によると。
 しかし、最初にリンクしたニュースのように、同盟国からシェールガスが得られるとすればどうだろう。 そんないいことはないはずだ。これは何とかして欲しいね。TPPってのをそのことのために使うことはできないもんなの?

 といった辺り、どうかご教示いただきたいところであります。

教養の新しい呼び方

●ブログの更新もなかなかままならなくなって久しいのですが、ひとまず、あけましておめでとうございます。
 新年の抱負としてはもうだいぶ遅いけれど、ずっと思っていることを少し。

●昨年よくヘイト・スピーチというのを目にして。これは要するに教養のない人たちが騒ぎを起こしているということなんだな。というのは判って、ではどうすべきか、ってところで、「しばき隊」のような活動をしている方々もいらして、これにはものすごく敬意を払うけども(※1)、対症療法と原因療法という考え方で行けば「しばき隊」は前者で、私に向いているのは後者のことを考えることかな、という自覚があるので、後者について書いてみる。

●ヘイト・スピーチのひとたちってのは、怖がりなんだろうと思う。何だか判らないものが怖い。だから攻撃する。
 だったら、「何だか判らないもの」を「判ること」にすれば怖くなくなる。
 いろいろ判っている、という状態をひとまず「教養」と呼ぶけれども、この「教養」という言葉、ヘイト・スピーチをするような人たちに向けるにはあまり分が良くない。「教養」だと、身につけるのに時間がかかりすぎて、そりゃ無理だ、ってとこで止まってしまう。
 と言うか、これを書いている私自身が「教養人」かと言えるかどうかで言えば、とてもそんなガラではないので、そこで話が止まる。この話をしづらいのにはそこもあるね(ある程度教養があればあるほど、自分のことを教養人とは恥ずかしくて言えないでしょう)。
 しかし、とりあえず「教養」と呼ぶしかないものを、多くの人々に伝えないと、ヘイト・スピーチみたいなものは減らせない。
 なので私、ずっと前から「『教養』の新しい呼び方を考えよう」と思っていて、しかしなかなか見つからない。元々ある言葉だと「世間知」とかあるし、クラブのDJをしてる頃には「ストリートワイズ」ってフレーズを思いついて、これはなかなかいいと思うんだけど、肝心の怖がりのヒトたちに伝わらない。それだと意味がない。
 何かあるかな。という問いかけともに、まずは新年を始めたいと思います。

(※1)久保憲司さんがサム・クックボブ・ディランのことを話の骨子にしながら、何故差別はいけないかについて語っている文をネットで読んで感銘を受けたのだが、今検索してもうまく見つからなかったので、ご存知の方はご教示を。

2012年ベスト・アルバム

●ブログの更新も久々だが、レコードの年間ベスト・テンを選ぶとなるともう十何年ぶりだと思う。
 音楽はずっと好きで、一時期は仕事にしていたくらいだが、人生の流れの中でいろいろあり、ほとんど音楽を聴かない時期もあった。そんな時期は年間ベストテンどころか、聴いた新作が五枚行かなかったんじゃないかと思う。
 転機は一昨年の引越し。文京区の図書館はCDが本当に豊富。それに加えて、走るのが趣味になり、「図書館まで走ってCDを借りて来る→そのCDをiPodに入れて聴きながら走る→それを返すためにまた図書館まで走る→そしてまたCDを借りて来る」というサイクルが続くうち、すっかり音楽ファンに戻ってしまった。
 ただ、タダでたくさん音楽が聴けるからと言ってCDの購入量が減ったかと言えば逆。あの文京区立図書館にだって、ないCDはない。そうした中で聴きたいものがあれば、やはり購入することになる。知識が増えるほど未知との接触断面が増える、というのはいつの世も変わらない。
 ということで昨年も実は、ベスト・アルバムをリスト・アップしていたのだが、これをブログで発表、とかいうのはいかにも古いアティチュードのような気がして、去年は書かなかった。
 しかし今年はいよいよ、CDというメディアがなくなるんじゃないかという話もあちこちで聞くようになり、この「年間ベスト・アルバムを選ぶ」という音楽ファンならではの行為を遂行できる機会も残り少ないのではないか、という気がして来たので、恥ずかしながら挙げてみる。各作品への批評は、またおいおい追加してみたい。


『Life Is Good』Nas
『I Missed Us』SWV
『The Dreamer/The Believer』Common
『Lover 4 Life』Regina Troupe
『Write Me Back』R. Kelly
『The Floacist presents Floetry Re:Birth』The Flacist
『Perfectly Imperfect』Elle Varner
『Mr. M』Lambchop
『How's It's Going?』さかいゆう
『What Christmas Means 』Kem

ゆうべは皆様ありがとう!

●昨日は恵比寿エンジョイハウスでパーティー。お越しいただいた皆様も、来られなかった皆様もありがとうございました。
 結婚記念ということで贈り物を下さった皆様、モノももちろんですが、お気持ちを一生の宝物に致します。

●私のDJのプレイリストです。90年代にクラブ通いで明け暮れた頃の記憶に基づいた、私的ダンス・クラシックスで行ってみました。

1. Diggin' on You(LA's Live Remix) / TLC
2. Mon Style de Musique / GMB
3. ウイスキー&ウォッカ / ARB
4. Inbetweenies / Ian Dury & The Blockheads
5. It's Your World / Theatre Brook
6. When You Are Who You Are / Gil Scott-Heron
7. Tighten Up / Moonflowers
8. Let Me Turn You On / Biz Markie


●いつもDJをする時は、その時々の旬ないい曲をなるべく選ぶようにして来たんだけど、今回は結婚記念で人生の節目ということで、昔何度もかけた定番曲、同じ恵比寿でもエンジョイハウスじゃなくてカラーズってクラブでDJしてた頃の定番曲を中心にお送りしました。
●2. はフランスのヒップホップ・オムニバス『Les Cool Sessions』に収録の“Got to be Real”ネタの一曲。キャッチーなネタとフランス語ラップの組み合わせが好きでよくかけていました。
●クラブでかけるのはほぼ初めてなのがARB。でもライヴを見た回数では一番のバンドでした。この曲ならクラブ・プレイに十分耐え得るかな、と思いついてかけてみました。
●シアター・ブルックによるギル・スコット・ヘロンのカヴァーのあと、本家ギルの名曲へ。このギルメドレーが今回のハイライトかも。
●私の前のKON=FUNKさんが“Tighten Up”をかけていたのにつられて、私もムーンフラワーズ版を。そして最後にビズ・マーキー。本当はもっと、“Beat Surrender”とか“My Ever Changing Moods”といった青春の一曲で締めようかとも思ったのですが、そうするとDJ完全引退になってしまいそうで、それは淋しいのでビズ・マーキーくらいがちょうどいいかな、と。自分でオーガナイズするパーティーはもう当分ありませんが、音楽は常に好きでおりますし、誘われればどんどんDJしますのでどうぞよろしく。
●そして、最後の最後、ご挨拶の時にかけたのは、大野雄二 ft. DOOBLEの“ラヴ・スコール(World Sketch"Ocean"Remix)”でした。

●今回、ご来場の皆様へMixCD-Rを配布させていただきました。その曲目を書いて置きますね。
 この季節に聴きたい音楽ということで選びました。当日、行く前にジョギングしながらiPodで聴いて、内容について再検証してみましたが、春の陽気にはよく合っていると思います。行楽のお供にどうぞ。
 あと、今回来られなかった方でこのCD-R聴いてみたい、という方はぜひお申し付け下さい。まあ、お渡しにうかがいますので、それを名目に一杯やるのもオツなものじゃないか、と存じます。お気軽にお声おかけ下さいね。


『in Spring』

1. Always / Electric Empire
2. April Showers / The Blackbyrds
3. Restless Feeling / Nick Lowe
4. Don't Kiss Me / Carl Thomas
5. Only One / Mamas Gun Feat. Beverley Knight
6. Sign of The Times / The Belle Stars
7. (I Like) The Way You Love Me / Michael Jackson
8. Haven't Met You Yet / Michael Buble
9. Benny's Dream / Larry Goldings & Harry Allen
10. Heavenly / Ron Sexsmith
11. Magic Wand / Shelby Flint
12. When The Boys Get Together / Joannie Sommers
13. Instrumental II / James Taylor
14. Family Table / Bill Withers
15. More Than Love (en Espanol) / Los Lonely Boys
16. Funny Hou Time Slips Away / Georgie Fame
17. Mean Old Man / James Taylor
18. You'll Always Have Me / The Apollas
19. Same As Me / Lianne La Havas
20. Don't Let The Sun Catch You Crying / Jose Feliciano
21. Lost in Wonderland / Connie Stevens
22. Oh, Babe, What Would You Say? / Hurricane Smith
23. Normalmente / Joe Barbieri

DJするのでみんな来てね

●今週末に久々のパーティーをします。ツイッターミクシィなどでは何度も書いておりますが、改めてブログでも書かせて下さいね。
 4/28・15:00-22:00、恵比寿エンジョイハウスです。何卒よろしく。地図などは↓を。
http://enjoyhouse.net/

 今回は結婚記念でして、妻も初DJをします。選曲をいっしょに考えているところですが、これがなかなかいい選曲になりそうなんで乞ご期待。

●とりあえずタイムテーブルを書いて、それから各DJの紹介をしてみますね。

15:00-15:45 佐藤公哉
15:45-16:30 MASA
16:30-17:00 方波見寿
17:00-17:30 牧野哲夫
17:30-18:00 吉本真一
18:00-18:30 KDHL
18:30-19:00 junne
19:00-19:30 サカイヤスアキ[Live]
19:30-20:00 まちだ
20:00-20:30 bugaru99
20:30-21:00 MASA
21:00-21:30 KON=FUNK
21:30-22:00 佐藤公哉

●今回は私の友人関係を総動員して、ベスト・オブ・マイ・コネクションでお送りします。
 前半は私のバンド時代の仲間から、レコーディング・エンジニアの方波見くんと、ドラムの牧野くん。方波見くんはビーチ・ボーイズやELOといったポップスに造詣が深くて、牧野くんはドラマーらしくレア・グルーヴとか得意。ここ何気にいい選曲が聴けますよ。
●吉本くんは今発売中のMM誌で小沢健二の記事を書いています。タイムリーなご登場と言えますね。
●KDHL、と言うかクドウハルヲしばたっくん、と言った方がおなじみかな。しばたっくんが実は、ウチの夫婦の結びの神でして。これは呼ばないわけには行かないよね。
●junneくんはロックのDJとして強いので、このあとのサカイくんのパフォーマンスとの相性を考慮してお願いしました。彼のバンド、大甲子園やFilthのファンの皆様もひとつよろしく。
●そしてモールスのサカイくんが何故かソロ・ライヴ。私とサカイくんの両者を知りつつ、我々の関係を知らない方がいるとして、テイスト違いすぎ! と思われるかも知れないんですが、実は我々、大学のサークル仲間でして、いっしょにバンドもやってました。テイストは違うんですが、少なくともこちらは「サカイ天才!」と当時も今も思い続けており、今回来てくれるっていうので本当にありがたく思っております。
●ここからあとは『City,Country,City』としてエンジョイハウスでパーティーするようになってからの盟友が登場。まずはまちださん。甘茶ソウルの達人。この時間は濡れておきましょう。
●で、まちださんのあとが妻のDJなんですが、意外と良さそうなんだこれ。90'sのいいところが、かなり凝縮した感じでかかりますので、期待しないで期待してて。
●『City,Country,City』の屋台骨だったMASAさん・KONさんのあと、不肖私のDJで〆となります。
 ここ一年くらい、昔以上にいろんな音楽を聴くようになっていて、新譜とかもかけたいところですが、今回は恐らく、昔から何度もかけて来たレコード中心に、定番中の定番ばかりをお送りする腹積もりです。遊びなし、土井の送りバント張りの固さ・江川の三球勝負張りの150キロ連続でガチガチに上げて行きます。これ、絶対楽しいと思うよ。ぜひお越し下さい。

去年のベストテン

●皆さんこんにちは。すっかり年も明けて久しいですが、遅れ馳せながら「昨年良かったものベストテン」を書いて今年のスタートとしたいと思います。

『Don’t Let It Die』ハリケーン・スミス[CD]

 十数年振りに、たくさんCDを聴く生活に戻ったので、昨年の新譜CDについては別に十選を選んで書いてみたいと思っているけども、まずは新譜以外で。
 ハリケーン・スミスは、二月頃ラジオで聴いて気に入ってCDを手に入れて、引越しの頃によく聴いた。同時期に震災が起こり、テレビやラジオで普通に音楽がかかりにくくなっていたため、余計そればかり聴いた印象もある。とぼけたしわがれ声と、人懐っこいメロディが、とても心和ませてくれた。

『サンバ歌謡の女王』エリゼッチ・カルドーゾ[CD]

『キューバ音楽の真実』[CD]

『ルーズ・シューズ・アンド・タイト・プッシー』アレックス・チルトン[CD]

 引越しをして妻と同居を始めたため、聴く音楽もどうしても自分の好みだけではなく、妻と合意の上のものになる。そんな「家庭内ヒット・アルバム」を三つほど。
 夏頃はキューバの音楽が妻ウケが良く、何かとよく聴いた。実際、夕食どきにキューバ音楽がかかっていると華やかで食欲も湧くし、作っている妻も家事が捗るだろうな、と思ったものである。
 特に妻が気に入ってくれたのが上記二枚。キューバのディーヴァ、ってことで言うとオマーラ・ポルトゥオンドが妻ウケ2位で、ダントツ1位は優美な歌声のカルドーゾという感じだった。
 そう言えば昨年は、この二枚にも深くかかわられた中村とうようさんも亡くなられた。こういった音楽の良さを伝えて下さったということで大いに感謝するけれども、そういった通人なのに、「いい音楽を伝える」ことと同じくらいに「悪い音楽をはびこらせるものを糾弾する」活動を多くされていたのがもったいたいなあ、と今は感じる。通人がいちいちセクト争いのようなことをせず、好きな音楽のことだけをニコニコと語れる文化環境を。と強く願う。
 ロックのCDも、引っ越し先の図書館には結構あったので、おかげで昨年は「ロック回帰」の年となったけど、こちらは妻ウケはあまりよくなくて、特にエルヴィス・コステロのCDを聴いていると嫌がられたなあ(苦笑)。まあ、コステロ、くどいもんな(笑)。とか言いつつ図書館にあるコステロのCDは全部借り切ったけども。
 そんな中、例外的に妻ウケが良かったロックが、アレックス・チルトンのカヴァー集。「このイナタさが良い」と大絶賛で、おかげでこちらも何度も堂々と聴けて嬉しかった。
 カヴァー曲のセンスがホント良いんだけど、ギターの弾き方が雑(笑)。弾いちゃいけないとこをミュートしないで、六弦全部鳴らしちゃってる感じ。しかしそこが味なんだなあ。それに、完コピのために何年もかけるより「雑でも良し」として取り組んでくれたおかげで、いい曲をいろいろと知る機会が得られた、ってことには感謝せずにはいられない。そんなチルトンも一昨年亡くなられて残念。生きててカヴァー第二集を作るとしたら、T-ペインとかスヌープとかのメロウめの曲をやったらハマっただろう、と個人的には思うんだけど、もう叶わぬ夢だね。R.I.P.

ジョニー・ウィンター[ライヴ]

 震災のためいろんなライヴが中止になったけども、そんな中来てくれたのがジョニー・ウィンター
 私が音楽について書く文をいつもよく読んでいる人には意外に感じられると思うんだけど、私ジョニー・ウィンターが大好きで、高校生の頃とかにホントに一番「イッちゃう音楽」だったのはジョニー・ウィンター・アンドのライヴ盤だった。あまり「ブルーズ」って意識がなくて、ロックとして最高だと思って聴いていた。とにかくイケイケで押して来るじゃないですか、ジョニー・ウィンターって。それにやられっ放しだったんですね。
 今回は、もうトシだし渋いブルーズでもやりに来るのかな、と思っていたところ、案に反して完全にロック、ロック、ロックンロールのライヴだった。“ジョニー・B・グッド”をアンコール以外のタイミングでやるのを久しぶりに見た、って感じ(笑)。しかしそれが嬉しかったなあ。

ニック・ロウ[ライヴ]

 本人含めみんなおじさんばかりで、そういうおじさんたちが魚三酒場とかに行く時みたいなダラッとした服装でステージに上がるので気合が入らないことこの上なかったけれども(苦笑)、しかしその緩さが最高だったね。ポップ・ロカビリーとでも言えばいいのか、バディ・ホリーが今も生きてたら(74歳くらいになりますが)たぶんこんな音楽をやっていただろう、というのを具現化しているような演奏だと思いました。

■ミュージック・プラザ・矢口清治の洋楽ヒット・グラフティ[ラジオ、NHK-FM毎週木曜16:00-17:20]
■世界の快適音楽セレクション[ラジオ、NHK-FM毎週土曜9:00-10:55]

 ラジオは好きでいろいろ聞いてて、他にも好きな番組はあるけれど、特に欠かさないのはこのふたつ。
 矢口さんのやつはタイマー録音しないと聞けないのが残念だが、素晴らしい番組だと思う。「洋楽」を心底楽しめる番組だ。矢口さんは高校生の頃とかは「ゆるい趣味のヒトだなー」と思ってあまり尊敬してなかったけども(スミマセン)、やっぱり継続は力なりで、その頃と同じような音楽を深化しつつずっとかけ続けていて、紳士的なトークにも磨きをかけ続けているので、今は私のフェイヴァリットDJのひとりである。
 ゴンチチの『世界の快適音楽セレクション』は土曜の朝を本当に快適にしてくれる。これを聞きながらゆるゆると起きて、途中で録音に切り替えて近所のスーパーに妻と買い物に行って、枝豆やローストビーフを買って来て。外出中に録音した続きを聞きながら枝豆とビールで過ごす土曜日の昼下がり、ってのは最高。これをきっかけに購入したCDも多かったなあ。

■糖質オフ[生活]
 妻の料理がうまく、放って置くと太って服が着られなくなるので、とりあえず糖質オフ生活をすることにして久しい。
 お昼はナッツと林檎一個、朝昼晩通して炭水化物は極力食べない(特に夜は厳禁)といった具合。
 結果として特に痩せていないが、それは元々の食生活がわりかし糖質オフに近かったため(お酒飲みだから、お米とかほとんど食べなかったし)。痩せないながら、必要以上に太らなくて済んではいる。
 まあ、ダイエットもさることながら、味覚がある程度鋭くなるのが楽しいね。たまに食べる蕎麦が本気で旨くて、香りの伝わり方がすごい(その分、おいしくないのに当たると殺意を覚えるけれども<苦笑>)。
 この生活を続けていて思うことは、現代人は食べ過ぎだ、ってこと。特に東京のような街で暮らす上では、意識的に食を控えて、一食一食の味を噛みしめることを心がけた方が絶対楽しく暮らせる、ということを実感しています。

『マイ・オンリー・スリル』メロディ・ガルドー[CD]

 最後にまたCDだけど、去年ホントに一番よく聴いたのはラリー・クレインのプロデュース作品群だった。一番売れたマデリン・ペルーに始まり、ラリー・ゴールディングス、ティム・ブルナーなど、どれを聴いても素晴らしかった。
 私はコーヒーを淹れるのが好きで、特に豆を挽いて、最初に一滴のお湯を注す瞬間がたまらなくて、もしかしたらコーヒーを飲むより淹れるのが好きなのかな、と思うくらいなんだけど。あの瞬間、コーヒー豆がふわっと膨らんで、部屋が芳しい香りで満たされる瞬間のような音楽だと思う。ラリーはベーシストだけに、包み込むようなサウンド・デザインが得意なのだろう。
 一番の必聴盤を挙げるとなるとハービー・ハンコックジョニ・ミッチェル・トリビュートになるが、個人的に一番馴染み度が高いのは、一番最初に聴いたメロディ・ガルドーということになる。
 彼女は交通事故のリハビリ中に作った曲が認められてデビューしたということで。そうすると体に障るような大きい声は出せないわけで、そのせいか結果として耳障りな要素が一切なく、柔らかくてアンニュイな歌声になっている。これは本当に良かった。

●ということで、本当に遅れ馳せながら、今年もよろしくお願いします。

ロバート・キャンベル氏

 昨日は、風邪を引いた妻の代わりに、ロバート・キャンベル氏(以下RC)の講演会に行って来た。
 グレイのスーツを洒脱に着こなすRC氏、妻や妻の女友達の間でアイドル的存在になっている。
 ニューヨークのご出身とのことだが、スーツの着こなしは英国風で、筒美京平さんみたいだな、って個人的には思った。
 そんな佇まいで江戸〜明治の日本の文化や文学について柔らかに語るのだから、女性ファンが多いのも頷ける。

 質疑応答コーナーがあったのでうかがおうかと思ったのだが、場内の雰囲気にそぐわないのでやめておいたことがあるので、ここで書いてみる。
 RC氏はニューヨークでもブロンクスのご出身で、高校生くらいの頃まで在住されていたという。時期を調べると1970年代後半。ヤンキー・スタジアムの近くにお住まいだったということで、それなら77年のヤンキーズ優勝の喧騒にも触れておられるだろう。
 そうなると、私のようなブラック・ミュージック愛好家にとって気になるのはヒップホップ・カルチャーのこと。
 正にクール・ハークとかが活躍していたヒップホップ黎明期にブロンクスでミドル・ティーンとして過ごしていたというRC氏なので。そもそもその文化に触れる機会があったか(白人だと全然触れなかったかも知れないし、その可能性も高い)、触れなかったとして、当時の人種間の壁はどのようなものであったのか。などの70年代後半のブロンクスについて聞いてみたい。
 そもそも、ヒップホップの本を読むと、その頃のブロンクスには黒人しかいなかったかの如き印象を受けてしまうのだが、これは飽くまでも印象で、実際にはRC氏のようにブロンクスにいらした白人の方も大勢おられると思うので、そちらの話もうかがってみたいと思うところなのです。
 RC氏が十代の頃を語る談話が載っているサイトなどは見てみたが、さすがにそんな話は載っていないので。どんなものかな。