2020年の良かった音楽ベストテン

 年間ベストテンを詳細コメント付きで選んだ上、大晦日に間に合った。なんて何年ぶりかなあ。これができたのは、やっぱり今年が「特別な年」で、結果的に時間ができちゃったおかげですね。時代の変化に合わせ、どうやって聴いたかの記号もご参照の上お読みください。

●フィジカルCD
サブスクリプションで聴いたアルバム
〇曲


■Bronze / Aquarium

[Full Album] Bronze(브론즈) - Aquarium - YouTube

 今年後半、よく聴いてたのはハワイのコンテンポラリー・ポップと韓流シティ・ポップ。前者は主にアロハ・ガット・ソウルからリリースされるコンピとか、インターFM『iHeart Hawaii』(土9:00-12:00)から情報を得ていて、後者に関してはYouTubeだったりするんだけど、何しろどちらも元々の基礎教養がないジャンルなので、アーティスト名とか全然覚えられなくて、無知な生徒のまま曲だけ浴び続けている感じで、でもそれが良くて。小西さんの歌詞に出て来る「飛行機の中で見た、そんなに悪くない短い映画」みたいな感じで一期一会を愉しんでいます。
 そんな中、これはさすがに名前覚えた。ってのがブロンズ。永井博ジャケでラストに一十三十一が入って♪残酷な夏のメロディ~、なんて歌ってて完璧過ぎる。今行けないけど、聴いてると湘南とか海雲台とか浅虫とか、つまり海沿いドライヴに行きたくなってたまらない。で、代償行為として『カーグラフィックTV』『クルマで行こう!』『昭和のクルマといつまでも』といったクルマ番組の録画を無音再生しながら聴いたりしています(『おぎやはぎの愛車遍歴』はトーク消すと面白みがなくなるのでここでは使わない)。特に今年は『カーグラ』でアーカイヴ放送が多くて、80年代の都内ドライヴの画と合わせるのなんか最高でしたね。


■Gary Corben / Gods in Brazil

Gary Corben - Gods in Brasil - Puma 72 - (Pseudo Video) - YouTube『Gods in Brazil』全曲

Gary Corben - Summer's Almost Here - from the album A New Kind of Fool - YouTube

“Summer's Almost Here”PV

 これもどこで情報得たか忘れちゃったけど、令和の時代に突如現れたお洒落伯父さん。みたいな佇まいにヤラれて何回も聴きました。アルバムのあとに出たサマー・チューンがまた最高。

 

●Max / Colour Vision

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“Blueberry Eyes Ft. SUGA of BTS”PV

 ここからは今年のヒット・チューンのお気に入りを何曲か。と言いつつ、MAXはそれほど売れてないみたいですけど(NACK5小林克也さんの『ベストヒットUSA』では20位に入ったのを一回確認した切り)、すごく好きですね。今どき珍しくフィジカルCDが入手できたので、そうするとiPodにダウンロードできるから、走る時もよく聴きました。『Justified』でソロ・デビューした頃のジャスティン・ティンバーレイクがやってた音楽をアップデートさせたような印象で、背が低めの二枚目。ってのもジャスティンと共通してて、結果的にPVにどこかフェティッシュ味が出るのがイイんですよね。

〇Loxanne / Arizona Zervas

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 今年の夏の、心のベストテン第一位。実際にはデュア・リパとかに阻まれて三位止まりでしたけど。
 こんなにカワイイコード進行の曲なのに、PVの不幸無限ループ感が半端なくて、甘い毒にずっと溺れて続けているような感覚がたまらなかった。

〇Doja Cat / Say So

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 もう一曲カワイイヒット曲。これは六週くらいチャートのトップだったので皆さんご存じですよね。私が二十代だった頃、クラブとかでよく会うような女の子たちが好きだったカーディガンズとかセイント・エティエンヌとかみたいなガーリーでオリーヴィーな曲がこんなに大ヒットするのはちょっと不思議な気がした。今の彼女たちはこの曲聴いてるかな。

〇Giveon / The Beach

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 R&B代表ならこの曲。コード進行的に、ふたつ目のコードが井上鑑っぽいところに魅かれただけな気もしなくもないけど(苦笑)。

■ Sunset in Blue / Melodie Gardot

If You Love Me - YouTube

 iPodで聴く冬のプレイリストの一曲目は長いことずっと"Baby I'm a Fool"だったりして、メロディ・ガルドーのことは無条件で大好きなんだけど、例えばノラ・ジョーンズとかもずっと"Don't Know Why"ばかり歌ってるわけじゃないのと同様、ガルドーの歌世界もいろんな変遷があって、今回は私の一番好きなガルドーが帰って来た感じですね。静かで、体温低くて、でも少し甘い。この最後のビタースウィートの加減が重要で、個人的にはスウィート強めが好みなので今作は最高なんですが、他のガルドーのファンの皆さんはどうなんだろう。


畠山美由紀 / Song Book #1

【Miyuki Hatakeyama“Song Book #1” Release Live】at Billboard Live OSAKA - YouTube

 

 ゴンチチのラジオでかかった"The Last Waltz"のカヴァー(※)が良過ぎてCD注文してしまいました。ライナーに載ってる制作過程とかを見ても、2020年ならではのリモート・ミニマル・ベッドルームな作りが音楽の良さに直結している。今年はそういう名作が他にもたくさんあるんだろうと踏んでいるのですが私はあまり調べられていないので、お読みの皆様でお詳しい方、お薦めをぜひ教えてくださいね。

(※)人によって「ラスト・ワルツと言えばこれ!」が違うのがちょっと面白くて、ゴンチチのラジオで紹介してた渡辺亨さんにとっては(日本語版としては、ということで)尾崎紀世彦、畠山さんは岸洋子版だという。まあ私は出来合いの音楽ファンなのでエンゲルベルト・フンバーティングのを秋冬によく聴いていましたが、今回検索したら出て来た倍賞千恵子版がまたいいですね。

♡ ラストワルツ 尾崎紀世彦 - YouTube

ラストワルツ 岸洋子 - YouTube

The last waltz - Engelbert Humperdinck - YouTube

倍賞 千恵子 CHIEKO BAISHOU ラスト・ワルツ LAST WALTZ - YouTube

 

クレイジーケンバンド / NOW

【Digest】CRAZY KEN BAND * NOW at NIPPON BUDOKAN - YouTube

 CKBは私にとって殿堂入りアーテイストなので、年間ベストとかに敢えて入れたりしないのが通例なんですが、特別な年に特別なアルバムを作ってくれたので例外的に。冒頭の"サムライ・ボルサリーノ"が今年を反映しまくっていて(歌詞の展開が構造的に凄い。発明、と言っていいレヴェルじゃないかな。これは皆さん、歌詞カード精読しながら聴いて欲しいです)、そこからM4"だから言ったでしょ"までの組曲的流れと、今年の空気感の反映ぶりが完璧過ぎ。CKBの歴史を追った上で書くなら、2015年『もうすっかりあれなんだよね』で敢えてキャッチーな曲展開を排してコード動かさないような曲中心でアルバムを作り切った経験が今回図らずも活きたな、という印象。プラス、2000年『ショック療法』の頃のヨーロピアン・エレガンス全開なニュアンスも久々に強め。いつもCKBのアルバムが出ると、何回か聴いてから気に入った曲を自分のCKBプレイリストに反映させて、以後はそれを聴く。ってのが通例だったんですが、今回は『NOW』そのものを、リリースから結構経った今も聴いています。

〇F2020 / Avenue Beat

和訳 // 2020年が嫌になってきたあなたへ F2020- Avenue Beat - YouTube


 で、最後に。今年を本気で代表してる曲ってなったらこれしかない(苦笑)。日本語版リリックヴィデオでどうぞ。この「特別」感が、来年以降、多少は過去形の「特別」になってくれることを願います。さよならF2020。禍が明けたらハグしよう。良いお年を。