天使たちのシーン

 小沢健二復活の話題で私の周りはもちきりだが、明日は、これまた復活のペニー・アーケード、復活二回目にしてひとまずラスト・ライヴだ。
 前回のライヴを見たあとツイッターで「『ジャスト・キッズ』のパティ・スミスみたい」ということを書いたけれど、これは説明が必要だと思うので少し。
 『ジャスト・キッズ』については、こちらで読める山崎まどかさんによる評が的を得ているのでまずはそちらから一読願いたいが。憧れのニューヨークで魅力的な人々との出会いに心ときめかせ、やがて表現者としての自分を開花させて行くる二十代の自身を語るパティの筆致は、「自らを美化し過ぎでは?」と突っ込む暇も与えず、読む者にそのときめきをシンクロさせる。それこそ「躍動する流動体、文学的、素敵に炸裂する蜃気楼」というやつだ。
 で、まあ、パティがメイプルソープや、アンディ・ウォーホールをはじめとするセレブリティたちと過ごした70年代のニューヨークほどの規模ではなく、むしろスモール・サークルと言うべきものだったけど、80年代の終わりの東京の、ペニー・アーケードの周りには、素敵な人々が集まるシーンが確かにあった。小沢さんや小山田さん、明日ペニーと共演するフィリップスやデボネアといったバンドたちもそこにいた。
 前回の復活ライヴを見て、一瞬でそんなシーンの雰囲気が甦ってしまったことが「『ジャスト・キッズ』のパティ・スミスみたい」ということの真意。別に佐鳥さんの歌がパティ・スミスに似ているとかいうことはない。
 あと、ペニーの音楽はとてもポップだけど、どちらかと言えばポップ・ミュージックよりはポップ・アートの方にずっと近いポップ、である気がして、そういったところも『ジャスト・キッズ』を連想させたように思う。
 ということで明日のライヴ、昔よく会った人たちにまた会えるかな。会えたらどうぞよろしく。